メダカの呼吸はえらで行う|口のパクパク・酸欠のサインと対処法

メダカの呼吸はえらで行う|口のパクパク・酸欠のサインと対処法

メダカの口がパクパクしていると、「息が苦しいのかな」と心配になりますよね。メダカは、口から取り込んだ水に含まれる酸素をえらで血液に取り入れて呼吸しています。口から水を取り込むこと自体は、呼吸に必要な働きです。

ただし、水面に集まって苦しそうに口を動かしているときや、呼吸が速く食欲も落ちているときは、飼育環境を見直すサイン。酸素不足に加え、水の汚れでも呼吸が速くなることがあります。まずは呼吸の仕組みと異変の見方を押さえ、そのうえで酸素供給・水換え・暑さへの対策を考えましょう。

この記事のポイント
  • えらで水中の酸素を取り込むメダカの呼吸
  • 水面の鼻上げと速い呼吸の見方
  • 酸素供給・水質・高水温への対処
  • 稚魚の水流と成長に合わせた飼育管理
目次

メダカの呼吸の仕組みと、苦しそうなときの見分け方

メダカはどこで呼吸する?口から入れた水をえらへ送る

メダカはどこで呼吸する?口から入れた水をえらへ送る

メダカの呼吸を考えるときは、「口で水を取り込むこと」と「えらで酸素を受け取ること」を分けるとわかりやすくなります。口は水の入り口で、酸素を血液へ取り入れる場所がえらです。人が肺に空気を取り込むのに対し、メダカは水に含まれる酸素を利用しています。

静岡県の教育資料「あすなろ学習室」では、メダカのえらを電子顕微鏡で観察した写真とともに、常に新鮮な水をえらへ供給するために水流を作る仕組みを説明しています。えらは平らな板ではなく、でこぼこのある構造。水と接する面積を広げることで、酸素を効率よく取り込めるつくりです。

水中に溶けている酸素は「溶存酸素」と呼ばれます。ジェックスは、魚がこの溶存酸素で呼吸していると説明しています。つまり、飼育で大切なのはメダカの周囲に水があることに加えて、その水に呼吸に使える酸素が供給されていること。口の動きだけでなく、水の状態にも目を向ける理由はここにあります。

水面のパクパクは酸欠?鼻上げと速い呼吸の見方

注意したいのは、メダカが水面付近に集まり、苦しそうに口をパクパクさせる様子です。メダカ専門店のメダカ屋えんは、この「鼻上げ」を酸欠のサインとして紹介しています。単に口が動いているかよりも、水面に集まって苦しそうにしているかが、酸欠を考える手がかりになります。

水面に向かうことには理由があります。ジェックスによると、酸素は水面から水中へ溶け込むため、水面付近の酸素濃度が高くなります。鼻上げを「人のように空気を吸っている」と考えるより、水中の酸素が足りない可能性を知らせる行動として捉えましょう。

見えている様子考えたいこと
口から水を取り込んでいるえらへ水を送る呼吸の仕組みと関係する
水面に集まり、苦しそうにパクパクする酸欠の可能性
呼吸が速く、落ち着きや食欲もない水の汚れで苦しんでいる可能性
食欲低下、ふらつき、体をこする動きもある病気のサインも含めた観察が必要

この表は病名を決めるためのものではありません。とくに呼吸の速さは、酸欠だけに結び付けないことが大切です。キョーリンはメダカの水換え案内で、呼吸が速い・落ち着きがない・食欲がないという様子を、水の汚れで苦しんでいるサインとして挙げています。

夏・過密飼育・夜の水草で酸素の条件が変わる

夏・過密飼育・夜の水草で酸素の条件が変わる

昨日まで問題がなかった容器でも、夏は同じ条件とは限りません。水温が高くなると、水に溶け込める酸素の上限が下がり、酸欠を引き起こす場合があります。ジェックスが夏場や生体数の多い水槽でエアーポンプの追加を勧めているのは、このためです。

飼育数も見直すポイントです。セラジャパンは、酸素不足が起きる水槽の状況として過密飼育を挙げています。稚魚では成長にも注意が必要。ジェックスは、成長とともに一匹ずつが必要とする酸素の量が増えるため、過密な稚魚容器では分けて飼育するよう案内しています。

入れたときに余裕があっても、そのままの匹数で育て続けられるとは考えないほうがよいでしょう。

水草がある容器は、昼と夜の違いもあります。水草は日中に酸素を放出しますが、夜間には水草も魚も酸素を消費します。セラジャパンは、この違いを踏まえて朝と夜中の溶存酸素量を測定し、原因を探る方法を紹介しています。「水草があるから一日中酸素は十分」とは判断できません。

また、同社は厚い油膜や汚れ、浮き草で水面が覆われている状況も確認点に挙げています。水草には光合成による酸素供給や水の浄化という役割がありますが、植物の有無だけで安心せず、水面の状態や水の循環も合わせて見る必要があります。

酸欠だけに決めつけず、水質と病気のサインも見る

水が透き通っていると、汚れていないように感じますよね。ところがキョーリンは、フンや尿、食べ残しから生じる毒性のある物質は無色透明で、水が透明でも危険な場合があると説明しています。呼吸が速いときに、水の見た目だけで水質の問題を除外することはできません。

設置したばかりの水槽や大掃除のあとは、とくに管理を振り返りたい場面です。同社によると、ろ材や砂利にバクテリアが自然に発生するまでには2〜3週間ほどかかり、設置直後や大掃除後は少ない状態になります。その時期は、エサを控えめにする、こまめに水を換えるなどの対策が案内されています。

呼吸以外では、食欲低下、元気のなさ、ふらつく泳ぎ、注水口に寄る、底でじっとする、体を底などにこすり付けるといった動きも観察します。これらはキョーリンが観賞魚の病気のサインとして挙げるものです。また、病原体がえらに寄生しやすく、酸欠への注意が必要とも説明しています。

水の酸素量だけでなく、魚の体側に問題がある可能性も残ります。

治療を考える場合は、呼吸が速いという一点から薬を選ばず、症状に合うものを選ぶことが基本です。キョーリンは魚病薬の添付文書を読み、用法・用量を守るよう注意しています。

飼育水槽への塩や薬の投与には、ろ過バクテリアや水草、エビなどへの影響もあるため、呼吸の異変への一律の対処として加えるものとは分けて考えましょう。

メダカの呼吸が苦しそうなときの対処と酸欠予防

酸素供給を見直す|エアレーションは必ず必要?

エアーポンプの泡が見えなくても、酸素が供給されている場合があります。ジェックスによると、ろ過器から戻る水で水面が波立ったり揺れたりすると、空気中の酸素が水へ溶け込みます。さらに適度な水流が、底付近へ酸素を届ける役割を果たします。

そのため、エアレーションの要否は「ブクブクがあるか」だけでは決まりません。まず見るのは、水面の揺れと水の循環です。ろ過器があっても、高水温の時期や生体数の多い水槽では別途エアーポンプを設置するよう、ジェックスは勧めています。器具が一つあることを、いつでも酸素が十分という保証にはしないでください。

水面で苦しそうにしていて酸素不足が疑われる場合、酸素を取り込むための方法は水を循環させることです。セラジャパンは、水面が小さく波打つ水流やエアレーションを対処として挙げています。一方で、メダカ向けのキョーリンの案内では、水の流れが苦手なため弱い流れのフィルターを選ぶよう説明されています。

目指すのは、強い流れを作ることではなく、メダカへの負担に配慮しながら酸素を供給すること。病魚の管理でも、キョーリンは強い水流にならないエアレーションを勧めています。孵化したばかりの稚魚は、成魚と同じように扱わず、後の節で説明する水流への注意が必要です。

速い呼吸と水の汚れが気になるときは水換えを見直す

速い呼吸と水の汚れが気になるときは水換えを見直す

酸素の供給と、水にたまった汚れへの対応は、どちらも大切です。エアレーションを追加したから水質管理も完了、と考えないようにしましょう。キョーリンは、フンや食べ残しなどから生じる物質への対策として、バクテリアによる分解、吸着、水換えによる除去を挙げています。

日常管理では、呼吸が速くなるなどのサインが出る前に水を換えることが基本です。キョーリンのメダカ向け水換え手順では、器具のコンセントを抜き、底のゴミを飼育水の3分の1〜2分の1程度と一緒に吸い出します。新しい水はカルキを抜いてから、ゆっくり加えます。水道水のカルキはメダカに有害と説明されています。

ろ材の掃除では、吸い出した飼育水を使ってゴミを流す程度にします。ろ材には有益なバクテリアが住んでおり、水道水のカルキに弱いためです。呼吸が心配だからと、ろ材まで徹底的に洗い直すのではなく、汚れを取り除きながらバクテリアを残す手入れが案内されています。

交換量は、案内の対象を区別してください。同社の上記手順はメダカの日常の水換えですが、観賞魚の不調時を扱う別ページでは、エサに集まらないなどの異変を感じたときに3分の2の交換とろ過槽の掃除、2日間の給餌停止を案内しています。

両者を混ぜて「呼吸が速ければ必ずこの量」と決めるのではなく、日常管理と不調時の案内の違いを踏まえる必要があります。

屋外では水温・容器の広さ・飼育数を見直す

屋外の酸欠予防では、酸素を供給する器具に加えて、暑くなりすぎない置き場所も大切です。キョーリンのスイレン鉢飼育案内は、直射日光が当たり続けると高水温になりすぎるため、半日陰への設置を勧めています。夏はすだれなどで日陰を作り、風通しを確保する方法が紹介されています。

同案内には、水温が35℃を超えないようにという注意もあります。ただし、これはスイレン鉢の夏の高温対策に関する注意値で、「35℃以下なら酸欠にならない」という境界ではありません。水温が上がると溶け込める酸素量が減ることに加え、匹数や水の循環も関係するためです。

容器を選び直すなら、水量だけでなく広口であることにも注目しましょう。キョーリンはスイレン鉢について、水温変化を緩やかにするため10L以上の余裕あるサイズを勧めています。また、水面から酸素が溶け込むので、水面が広い鉢は酸欠になりにくいと説明しています。容量と水面の広さは、それぞれ見る意味があります。

飼育数を考える際も、容器に入るだけ増やすのは避けたいところです。過密飼育は酸素不足の確認点として挙げられ、生体数の多い水槽では酸素供給を増やす案内があります。鼻上げが気になる容器では、エアーポンプの追加だけで終わらせず、その水量で多く飼いすぎていないかも見直しましょう。

稚魚の呼吸と酸欠対策は、強い水流を避けて考える

稚魚の呼吸と酸欠対策は、強い水流を避けて考える

孵化したばかりの稚魚では、「酸欠が心配だからブクブクを強くする」という対処は避けたいものです。ジェックスは、メダカが水流に逆らって泳ぐ性質を持ち、遊泳力の弱い稚魚はエアレーションによって衰弱する恐れがあると注意しています。成魚の容器で使っている方法を、そのまま稚魚へ当てはめないことが大切です。

同社は稚魚の酸欠が気になる場合に水草を入れる方法を紹介しています。ただし、水草は夜間にも酸素を供給し続けるわけではありません。水草を補助に使うことと、過密を解消することは別の対策として考えましょう。屋外の稚魚飼育については、過密な場合に半分ずつ程度へ分ける方法も案内されています。

水量が少なすぎると、エサや排泄物で水質が悪化しやすい点にも注意が必要です。ジェックスが示す飼育数の目安は、2Lに対して生まれたばかりなら20匹くらいまで、1cmまでの稚魚なら10匹程度。これは成長段階を区別した目安で、どの環境でも酸欠を起こさない保証ではありません。

小さいうちは同じ容器で飼えていても、成長すると必要な酸素の量が増えていきます。屋外では日中の水温も確認し、暑い時期は日除けなどで調整するようジェックスは案内しています。稚魚の呼吸を支える管理は、強い水流を作ることより、成長に合わせて水量・匹数・水温を見直すことから考えてください。

メダカの呼吸と酸欠対策のまとめ

この記事のまとめです。

  • メダカは口から入れた水の酸素を、えらで血液に取り込む
  • 水面に集まって苦しそうにパクパクするときは酸欠の可能性
  • 速い呼吸は水の汚れでも見られ、酸欠だけには決めつけられない
  • 透明な水でも有害な物質が含まれる場合がある
  • 食欲や泳ぎ方、体をこする行動など、呼吸以外の病気のサインも観察する
  • ろ過器による水面の揺れでも酸素は供給されるが、夏場や生体数の多い水槽では追加のエアレーションを検討する
  • 水換えではカルキを抜いた水をゆっくり加え、ろ材は飼育水でゴミを流す程度に洗う
  • 屋外では半日陰や日除け、風通しに配慮し、広口で余裕のある容器を選ぶ
  • 水草も夜間には酸素を消費するため、水草があるだけで酸欠を防げるとは限らない
  • 稚魚はエアレーションの水流で衰弱する恐れがあり、成長に合わせて過密を見直す
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