水槽の底にフンがたまると、「掃除してくれる魚を入れたら楽になるかな」と考えますよね。まず押さえたいのは、コケや残り餌を食べる生き物を入れても、フン取りや水換えをすべて任せることはできないという点です。コリドラス自身も水を汚しやすく、メーカーは定期的な水換えを案内しています。
メダカ水槽なら、生き物を追加する前に、底に見えるフンを取る作業と、水そのものを交換する作業を分けて考えましょう。底砂がなければ底の汚れを直接吸い出し、砂利があれば底床クリーナーを使う方法があります。生き物に期待できる役割から、掃除の道具と頻度まで順に整理します。
- 掃除役の魚に期待できる役割と限界
- エビ・貝のコケ取りとフン掃除の違い
- 底砂の有無に合うフンの取り方
- 魚種・季節・給餌に応じた水換えの目安
水槽のフン掃除は魚に任せられる?生き物ごとの役割
フンを食べる魚の存在と、掃除を任せられるかは別

「魚のフンを食べる魚は一切いない」とまで言い切るのは正確ではありません。市立しものせき水族館「海響館」は、サンゴ水槽のアカハチハゼについて、砂の中の微生物や、ほかの魚のフン・食べかすなどをこし取って食べると紹介しています。
ただし、これはサンゴ水槽での話。メダカ水槽へそのまま当てはめられる掃除役の案内ではありません。
家庭の水槽で判断したいのは、「何かを食べるか」だけでなく、「何の汚れを減らしてくれるのか」です。GEXが説明するコケ取り生体は、コケを食べる魚・エビ・貝などのこと。底に落ちたフンを水槽の外へ取り出す作業とは、役割が異なります。
東京アクアガーデンも、お掃除生体は水槽掃除のサポートであり、底砂の清掃、ろ材の洗浄、定期的な水換えは必要としています。フン掃除をなくす目的で魚を追加するより、困っている汚れに合う対処を選ぶのが基本です。コケに困っているのか、底のフンに困っているのかを、先に分けてみてください。
コリドラスは残り餌、プレコはコケの役割を考える
コリドラスが底を探る姿を見ると、フンも片づけているように感じるかもしれません。東京アクアガーデンが紹介しているのは、上層や中層の魚が食べ残し、底に落ちた餌を食べる役割です。一方で、残り餌だけでは足りないため、コリドラス用の餌も必要としています。
飼料メーカーのキョーリンも、コリドラスは底の餌をゆっくり食べるため、ほかの魚に餌を取られると十分に食べられないことがあると説明しています。さらに「よく食べ、水を汚しやすい」として、1週間ごとに3分の1程度の水換えを案内。掃除係として入れたつもりでも、その魚の給餌と水槽管理が加わります。
プレコについて、GEXが紹介する役割は、吸盤状の口で張り付き、歯で削ってコケを食べることです。ただし、水槽やほかの魚を傷つける可能性、一部の魚との混泳が難しいと言われている点も挙げています。ガラス面のコケを食べる姿と、底のフンを取り除く働きを同じものとして扱わないようにしましょう。
メダカ水槽でフンだけが気になるなら、コリドラスやプレコの追加を最初の解決策にする必要はありません。コリドラスには専用の給餌が必要で、砂の中にゴミがたまらないよう掃除することも求められます。飼いたい魚として迎える場合と、掃除の手間を減らしたい場合では、判断を分けたいところです。
エビや貝も、コケ取りとフン掃除を分けて考える
エビや貝も、「入れればフンがなくなる生き物」として選ぶのは避けましょう。ヤマトヌマエビなら葉や底砂についたコケ、石巻貝などならコケ取りというように、期待する対象を具体的にする必要があります。同じお掃除生体でも、食べるものや活動する場所は一律ではありません。
| 生き物 | 原文で紹介されている主な役割 | フン掃除との区別 |
|---|---|---|
| ヤマトヌマエビ | 細かい葉や底砂についたコケを食べる | コケ取りを、フンの回収と同じ働きにはできない |
| ミナミヌマエビ | 柔らかいコケや魚の食べ残しを食べる | 残り餌の処理とフン取りは別の作業 |
| 石巻貝・フネアマ貝など | コケを食べる | 底砂の汚れの清掃まで任せる前提にはしない |
| ヒメタニシ・オオタニシ | 付着した藻、底砂の沈殿物、水中の浮遊物などを食べると紹介されている | 沈殿物を食べる説明を、フンをすべて処理する保証に広げない |
ミナミヌマエビのように、コケと食べ残しの両方を食べると紹介されている生き物もいます。ただ、それは「食べ残しを放置してよい」という意味ではありません。メダカへの給餌について、キョーリンは食べ残したら給餌を止め、残りをネットで取り除くよう案内しています。
コケ取りを手伝う生き物を飼うことと、人がフンや残り餌を取り除くことは両立します。すでにエビや貝がいる水槽でも、底に残っている汚れは掃除の対象です。「掃除役がいるのに汚れるから、さらに増やす」と進む前に、給餌量や砂利掃除、水換えを見直しましょう。
フンが崩れて見えなくなっても、水換えの判断は必要

フンが細かくなって姿を消すことと、水槽の外へ汚れを取り出すことは違います。アクアライフは、魚のフンが細かくなり、最終的に細菌によって分解されるとアンモニアが発生すると解説しています。形が見えなくなっただけで、水質管理まで終わったとは考えないようにしましょう。
しながわ水族館の展示を取材した東京農林水産ファンクラブも、魚のフンなどから出る有毒なアンモニアを、微生物が毒性の低い硝酸塩へと分解する仕組みを説明しています。この展示では、さらに野菜が硝酸塩を吸収する構成です。家庭のメダカ水槽に、その循環の仕組み全体が備わっているとは限りません。
水が澄んでいるかどうかだけでも判断できません。キョーリンは、排泄物や食べ残しから透明な毒性物質が発生し、透明な水でも水質が悪い場合があると案内しています。見えるフンを取ることに加え、魚の様子、水換え、フィルターの手入れも含めて管理する必要があります。
魚のいる水槽のフン掃除|メダカ向けの方法と頻度
底砂なし・見えるフンはスポイトなどで取り除く
底砂を敷かない水槽は、ベアタンクとも呼ばれます。砂利の間に入り込んだ汚れを探る必要がなく、底にたまったフンを直接吸い出せるのが、掃除の面での違いです。少量のフンを取りたい場面ではスポイト、水換えを兼ねて排水する場面ではホースなど、作業に応じて考えます。
GEXの屋外メダカ飼育の案内でも、繁殖期の5月に餌の食べる量や食いつきが落ちた場面では、底のフンや残り餌を網・スポイトで取り、水換えをする方法が示されています。つまり、フンを取り出す作業は、メダカ水槽でも使われている方法です。
ただし、この案内の水換え量まで、すべての季節や水槽に共通する値として使うことはできません。
稚魚のいる容器は、親魚の水槽と同じ感覚で扱わないことも大切です。GEXは、稚魚の水換えを親魚より繊細な作業とし、強く網ですくうことへの注意を挙げています。移動が必要で心配な場合の方法は、レンゲなどで少量の水と一緒に移すこと。
ここでは、ホースへの自作の網掛けなど、吸い込みを防げると確認できない加工を安全策として勧めません。
砂利の中のフンは底床クリーナーで水と一緒に排出する
砂利を敷いた水槽では、表面だけでなく、砂利の間にも汚れがたまります。この場合は、底床クリーナーで汚れを飼育水と一緒に排出する方法があります。水作の製品は、パイプを底砂に差し込み、内部で砂利をかくはんして汚れを吸い出す構造です。
具体例は、水作の「プロホース エクストラS」。公式製品ページでは水槽の高さ30cmまでと案内され、説明書ではSがPH-80として示されています。グリップのスターターを数回押して排水を始め、流量調節クリップで排水の速さを調整できます。
小型水槽用を探す場合も、水槽の高さと設置場所の条件を合わせて判断してください。
特に見落としやすいのが、排水先との高低差です。この製品は落差がない場所では使えません。説明書の図では、チューブ先端側のホースジョイント部分を、水槽底部より50cm以上低くセットするよう示されています。床に近い位置の水槽では、この条件を満たせるかを購入前に確かめる必要があります。
- 本体とチューブを接続し、指定の高低差を確保して、チューブをバケツに固定します。
- パイプを水中に深く入れ、スターターを数回押して排水を始めます。
- パイプを砂利に差し込み、汚れを吸い始めたら一度引き上げ、パイプ内の砂利を落とします。
- 砂利が落ちないほど水流が強い場合は、付属のクリップで流量を調節します。場所を移して繰り返し、バケツがあふれないように見ます。
細かい砂を使う水槽では、スターター部分へ砂が入り込まないよう、流量を調節しながら使うよう注意されています。砂が入ったまま使い続けると、グリップや弁に傷がつき、動作不良を起こす場合があります。砂利での操作説明を、そのまま細砂や別素材の底床へ広げないことが大切です。
詳しい操作は水作の日本語取扱説明書で確認できます。
掃除と水換えの頻度は、魚種・給餌・季節で判断する

「フンを見つけるたびに全部取り出さないと危険」と、毎回追いかける必要があるとは限りません。アクアライフは、魚種によるものの、ろ過システムを使う水槽では毎回取り出さないことも多いと解説しています。一方、GEXは水換え時に砂利の汚れも掃除するよう案内しています。
日々の観察と、定期的な清掃を組み合わせる考え方です。
| 対象と条件 | 案内されている水換えの考え方 |
|---|---|
| GEXの熱帯魚飼育案内:一般的な60cm以下の水槽 | 1〜2週間に1回程度。本文では1回の量をおおよそ3分の1〜2分の1とし、魚数・餌量・フィルター性能で変わると説明 |
| キョーリンのコリドラス飼育案内 | よく食べて水を汚しやすいため、1週間ごとに3分の1程度 |
| GEXのメダカ飼育案内 | 餌の食いつきや食べる量の変化を重視。週ごとの水換えも否定せず、水槽ごとの違いを説明 |
| GEXの屋外メダカ飼育案内:繁殖期の5月、食いつきなどが落ちた場面 | 底のフン・残り餌を取り、飼育水を半分ほど交換 |
| GEXの屋外メダカ飼育案内:低水温の1〜2月 | 水温が低いため、ほとんど水換えは必要ないと説明 |
この違いを平均して、メダカにも「年中、何日ごとに何割」と決めることはできません。熱帯魚の水槽、繁殖期の屋外メダカ、冬の低水温の容器では条件が違います。メダカでは、普段の食いつきや食べる量を見ながら、フン・残り餌のたまり方も合わせて観察しましょう。
なお、GEXの熱帯魚向けページは見出しで「3分の1ずつ」と示し、本文では「3分の1〜2分の1程度」と幅を持たせています。厳密な固定量ではなく目安として読む必要があります。
また、屋外メダカ向けには季節の切り替わりに全交換を案内する場面もありますが、それを日常のフン掃除のたびに行う手順へ置き換えないようにしてください。
すぐ汚れるときは、残り餌と飼育数を見直す
掃除しても短い間に汚れが目立つなら、まず残り餌がないかを見ます。GEXは、水槽が汚れる要因として、餌が多すぎることや魚の入れすぎを挙げています。掃除役の追加より先に、今いる魚に対してどれくらい餌が残っているかを把握したいところです。
キョーリンのメダカ向け案内では、小さなスプーンで与え、2〜3分以内に食べきったら追加する方法を紹介しています。食べ残したらそこで止め、残りをネットで取り除き、次回の量の基準にします。決まった量を入れ続けるより、実際に食べる様子を見て調整する方法です。
屋外のメダカは季節も関係します。GEXの10月の案内では、朝の水温が低くなると餌を残す容器が出るため、容器の大きさやメダカの数に合わせた給餌量の調整を勧めています。暖かい時期と同じ量を入れて残るようになったら、その変化を見逃さないようにしましょう。
掃除前の電源と、掃除後の水・ろ材の扱いを押さえる

水中へ手を入れる掃除の前には、電源を切ることが必要です。水作の説明書は、セット・魚の出し入れ・点検・掃除などで水中へ手を入れる際、すべての電源を切るよう警告しています。GEXも、感電防止のためヒーターやポンプなどのコンセントを抜くよう案内しています。
排水後に補う水は、水道水ならカルキ抜きを行い、水槽と同じくらいの水温へ調整してから、少しずつ静かに入れます。フンを取るために排水する作業でも、最後は水換えです。

底がきれいになったことだけで終わらせず、新しい水の準備までを一続きの作業にしましょう。
ろ材も一緒に手入れするなら、キョーリンはカルキの入っていない水、水槽水などで洗うよう案内しています。GEXも、生物ろ過のろ材を水槽水で洗う方法を紹介しています。フンを見つけるたびに水槽全体を洗い直すより、汚れを取り除く作業と、ろ材の手入れを区別してください。
メダカ向けのGEXの案内では、水の換えすぎによるストレスにも注意を促しています。フンが少し見えるたびに大きく水を換えるのではなく、汚れの回収と必要な水換えを組み合わせましょう。作業後は、電源を戻した機器が正常に動いているかまで確認して完了です。
水槽のフン掃除と魚に任せられる役割のまとめ
この記事のまとめです。
- フンを食べる魚の例はありますが、サンゴ水槽の事例をメダカ水槽へそのまま当てはめることはできません。
- お掃除生体は掃除のサポート。底砂の清掃や水換えまで省けるとは考えないようにしましょう。
- コリドラスは残り餌だけに頼れず、専用の給餌と定期的な水換えが必要です。
- プレコ、エビ、貝のコケ取りを、底のフンを回収する働きと混同しないことが大切です。
- フンが見えなくなっても、水質管理は必要です。透明な水でも水質が悪い場合があります。
- 底砂なしの水槽では底のフンを直接吸い出し、砂利のある水槽では底床クリーナーを使う方法があります。
- プロホース エクストラSは水槽の高さ30cmまで。説明書指定の高低差も確保する必要があります。
- 水換えの頻度・量は、魚種、魚数、給餌、ろ過、季節で異なります。熱帯魚向けの値をメダカへ一律に使わないようにしましょう。
- 汚れがすぐ目立つときは、掃除役を増やす前に残り餌や飼育数を見直します。
- 掃除前は電源を切り、補う水のカルキ抜きと水温調整、作業後の機器の動作確認まで行いましょう。
参考にした情報
- コリドラスの飼い方 コリドラスの飼育方法:熱帯魚用飼料(餌・エサ)|キョーリン
- 【コケ種類別】熱帯魚飼育におすすめのコケ取り名人
- プロホースエクストラ | 魚づくりは水づくり|水作株式会社
- PK-22_prohose-ex_manual-202309.pdf
- 熱帯魚水槽は水換えが命!水換えの頻度と方法を詳しく解説♪ 熱帯魚 観賞魚 アクアリウム用品 ジェックス株式会社
- 熱帯魚のフンが目立って汚い!水槽にたまったフンを掃除するテクニック|東京アクアガーデン
- メダカ水槽の水換えのタイミングは? 熱帯魚 観賞魚 アクアリウム用品 ジェックス株式会社
- 水温の変化には要注意!メダカの屋外飼育の月別ポイント 熱帯魚 観賞魚 アクアリウム用品 ジェックス株式会社
- 水槽を掃除してくれる生物は何がいる|エビ、貝、魚全部紹介・完全版|東京アクアガーデン
- 熱帯魚のフンは毎回取りださなきゃだめ?自然に分解されたりする?【熱帯魚Q&A No.044】 | アクアライフブログ
- 魚飼育の基本 いちばん最初に読むページ!|キョーリン【Hikari】
- 砂を食べてる!? | 市立しものせき水族館「海響館」 公益財団法人下関海洋科学アカデミー 山口県下関市あるかぽーと 6番1号
- 水族館で野菜の栽培!?水族館が取り組む循環型の栽培方法とは? | 東京農林水産ファンクラブ










